過払い金が発生する理由
金銭消費貸借の利息は、利息制限法によって次のとおり制限されており、これを超える部分は無効となる(同法1条1項)。
- 元本が10万円未満の場合 年20%
- 元本が10万円以上100万円未満の場合 年18%
- 元本が100万円以上の場合 年15%
しかし、現実には、消費者金融業者による貸付は、制限利率を超える利息が付されている。これは、出資法5条2項所定の年29.2%を超えない限り、刑事罰には問われないからである。このように利息制限法を超えるが出資法には違反しない範囲の利息をグレーゾーン金利という。
それでも、前記の利息制限法1条1項がある以上、制限利息を超える利息(制限超過利息)を支払ったときは、当然その返還を求めることができそうだが、同条2項で、制限利息を超える利息を任意に支払ったときは、その返還を求めることができないとされているため、問題は簡単ではない。
この問題を解決したのが、最高裁の2つの判例である。
最高裁昭和39年判決
最高裁は、制限超過利息を任意に支払ったときは、利息制限法1条2項により返還請求をすることはできないが、その利息は残存している元本に充当されるとした(最高裁昭和39年11月18日判決民集18巻9号1868頁)。
このように解釈した結果、金融業者側の計算では元本が減っていなくても、実際の元本は減少していくということが起こる。
最高裁昭和43年判決
最高裁昭和39年判決に従うと、返済を続けるうちに元本が減少していき、いずれ元本は完済されてしまう。しかし、金融業者側の計算では元本は残っているので、借主は返済を続ける。
最高裁は昭和43年、このように元本完済後に超過利息の支払が続けられた場合、過払いになった金銭(過払い金)を不当利得(民法703条)として返還請求できるとの判断を示した(最高裁昭和43年11月13日判決民集22巻12号2526頁)。その理由は、利息制限法1条2項は元本が存在することを前提とした規定であって、元本が完済された後には適用されないというものだが、結局、実質的に、利息制限法1条2項を空文化するものといえる。
このように、最高裁昭和43年判決によって、過払い金の返還請求が可能になったといえる。